無添加製品づくりを始めたきっかけは、自分の娘たちに、「安心・安全なものを食べさせたい」その想いからでした。
飽食の時代を迎えた現代では、食品添加物はほとんどの加工食品に当たり前の様に使用され、私たちは知らない内に沢山の食品添加物を食べてしまっています。食品添加物の中には、昔から食べられて来た「豆腐」を固める為の「にがり」など製造に欠かせないものもあれば、生産性を上げる為の「増量剤」・弾力や食感を良くする為の「品質保持剤」・日持ちを長くする為の「保存料」・うま味を強くする為の「調味料(アミノ酸等)」など、本来原料として必ずしも必要で無い物も多く使用され、これらの中には健康への影響が懸念されるものまでも含まれています。
又、日本で使用を認められている食品添加物でも、外国では使用を禁止されている物も有り、何かしら懸念が有ると言われるものについては出来れば口に入れたくないものです。
弊社では、「本来蒲鉾を造るのに必要でない食品添加物」や「健康への影響が懸念される食品添加物」は可能な限り使用せずに、昔から食べられてきた食材を基本とし、一つ一つの原材料の加工助剤(*1)・キャリーオーバー(*2)まで調べ、納得の行く素材・原料だけを選び、素材本来の味を活かした本物の蒲鉾・美味しい蒲鉾を造り、伝えて行かなければと考えています。
又、少しでも多くの国産原料を使用する事で、日本の農業・畜産・漁業を支え、生産者と消費者を結び食料自給率を高めるお役に立てればと考えています。
魚肉すり身
〇北海道産のスケトウダラや、地元、山陰又は九州で水揚げされた新鮮な地魚(飛魚、鯛、鯵、サワラ、マダラ、のどぐろなど季節の魚不特定)などの国産魚を原料とした国内製造の魚肉すり身を主原料としています。
一部商品に外国産船上加工すり身も使用しています。
(船上加工すり身:水揚げ直後の新鮮な魚をそのまま船上で加工した正に「とれたてのすり身」です。)
〇各魚種の特性やうま味に応じ、上記のすり身の中から製品に合わせた魚種を選び、数種を混合して使用しています。季節や漁の状況等により使用する魚種は変動します。(一部魚種限定としている商品はこの限りでは有りません。)
〇地魚すり身の一部は、自社で鮮魚を買い付け・自社製造したすり身も使用します。
〇すり身の原料魚にサケ・サバは使用しません。
※保水や弾力増強剤として一般魚肉すり身に使用されている食品添加物「結着剤(リン酸塩(Na))」は使用しません。「結着剤(リン酸塩(Na))」を使用しないことで、原料の善し悪しが直接製品に反映してしまう為、鮮度の良い原料の調達が不可欠で、一番気を遣う部分です。
現在は、安心・安全な原料で有る事を確認する為、まずは各原材料仕様書というものを原料メーカーより頂きます。原材料・原材料の産地・加工助剤(*1)・キャリーオーバー(*2)・製造工程・アレルゲン・遺伝子区分等々が記載されており、詳細を確認した上で、原料サンプルにて最終確認後使用の可不可を決定します。日本国内で有れば、出来るだけメーカーに出向いて詳細を目で確認した上で最終決定しています。
昭和後期、無添加蒲鉾を造ると決意した当時、「無添加」という言葉自体が聞きなれない時代に、北海道から九州まで、魚肉すり身を作る工場や、天然素材の昔造りの調味料を作る工場を探して回りました。殆どのメーカーさんは無添加・・・それは何の事ですか?という反応ばかり。そんな中で、思いの通じたメーカーさんと出会い使用する素材や産地などを確認した上で特別に製造頂いたり、それに対しての証明書(今でいう原料規格書や原産地証明書など)を無理にお願いして作成頂いたりと、メーカーさん共々苦労をして原料を揃えたことを思い出します。
現在では、当時からご協力頂いたメーカー様を含め、全ての原料の詳細・生産履歴迄確認できる様になっています。
加工食品の一括表示には、※1※2の様に、表示義務が免除された食品添加物が沢山隠れています。
私たちは、知らない内に沢山の食品添加物を食べているのが実情です。
特に口に入れる物に付いては、十分に吟味し「本物」を選ぶことが大切です。
手洗いが原点!
製品の保存性を高める為には、食品添加物の保存料などを使用するのでは無く、単純に細菌を付けない・繁殖させないことが基本です。 工場の製造機器は衛生面に配慮して更新し、「手に細菌をつけない」よう、社員一人一人が意識を高め、こまめな手洗を実行しています。
米国
海外展開の第1弾は平成19年の米国からスタート。 ニューヨークで行われる食品展示会で、東京の貿易会社から出展の呼びかけがあり、板蒲鉾とあご野焼を空輸しました。
現地で暮らす日本人向けを想定した空輸で、輸送費がかかったことから、1本が蒲鉾は5000円、野焼は6500円と超高額だったにもかかわらず、取り扱っていたスーパーマーケットから追加注文をいただきました。
和紙を使ったラベルに筆文字で「出雲神話」などと書いてあり、米国人がアートとして額装にするなど、思わぬ需要もありました。
台湾
日本テレビ系「どっちの料理ショー」の再放送が高視聴率をあげ、それを見た台湾の財閥系貿易会社「YFYバイオテック社」から注文が舞い込みました。
半信半疑の中、信用のある企業だとわかり、取引を開始したところ、安心・安全な食品を紹介した現地の通販カタログにも掲載されました。
台湾への輸出では、平成20年に島根県や県内企業5社などで農林水産物台湾輸出研究会が発足。今は、しまね食品輸出コンソーシアムとして商談会などを開催しており、「オール島根」という意識で販路拡大に取り組んでいます。
英国
ヨーロッパで行われた食品展で目をとめたインターネット関連のサービスと製品を提供する米国の多国籍企業Googleの英国オフィスが社員へのスナック菓子として取り扱うことが決定し輸出を開始しました。
Googleは、世界40か国以上にオフィスがありますが、それぞれが土地柄や個性を生かしており、例えば日本では銭湯風の会議室があるなど、社員がストレスなく快適に過ごせるように配慮しています。
小麦を使わないチップスは珍しく、欧米では食物アレルギーを起こさないノングルテン食品が注目されています。これを皮切りに、米国の本社とも取引ができるよう精進したいと思います。